2011年10月刊行。2012年の大河ドラマ「平清盛」の放送に先立って発売されたと思われる。小学館が2008年10月に創刊した小学館101新書より発行。(2013年に小学館新書に変更)
著者の櫻井陽子さんは駒澤大学文学部教授で、『平家物語』などの軍記物語を中心とした中世日本文学の研究が専門。嵐の櫻井翔さんのお母様だそうです。
その遥か11年後、壇ノ浦を訪問するにあたり、一度ざっと平家物語の流れを通して把握したいと考えた。下関に向かう途中の新幹線で第1章〜第2章を、帰路にて第3章を読んだ。
第1章を丸々利用して40ページ超に渡る人物辞典が大変便利で、読み進めながら参照できるのがありがたい。主要人物にはイメージが付きやすいようにイラストも掲載されている。
目次
第1章 『平家物語』をめぐる人々
第2章 『平家物語』イッキ読み―清盛の死まで
第3章 『平家物語』イッキ読み―清盛の死から平家滅亡まで
この本を読んで知ったこと・調べたいこと
第1章にて見開きで掲載された平氏の系図が非常にわかりやすく、北条・大庭・梶原などの坂東武者が平氏の血筋であることが手に取るようにわかった。知識としてはなんとなくわかっていたが、系図で示されると平氏のどの系統の血筋なのかが印象に残りやすいと感じた。なにぶん登場人物が多く、さらに名前も似ている。忘れていた記憶を呼び戻すのに大変助かる。特に平氏系図に示される名だたる坂東武者の数々は驚いた。みんな親戚じゃないか…!
平家の人物には詳しいつもりでいたが、清盛の弟たち、経盛・教盛・頼盛・忠度なんて気にしたことがなかった。源頼政も名前は知っていたけど、実際に何をした人なのかよく知らなかった。彼らたちの情報を知ることができるだけでも、第1章の人物辞典は素晴らしい。
次に読みたい本
- 平家の群像 物語から史実へ/高橋昌明
- 1日で読める平家物語/吉野敬介
まとめ
平家物語の概要をざっと知るにはうってつけの本。ただ90分で読むのは少し難しいと思う。
こんな本が高校時代にあれば絶対に読んでいた。1,000円を切る新書だから、お小遣いで買えてしまう。ただ残念なことにいわゆる新書ブームは私が社会に出てからの出来事なのである。
平家物語だけを読むと、平清盛は傲慢な権力者で行いが悪かったために平家は滅んだともとらえられる。そしてあまり幸せそうには見えずちょっと寂しい。
過労で休職することになり時間ができました。コロナ禍真っ最中だったので、大好きな台湾にも飛べず。じゃぁ、コロナ禍が起こらなかったら行くことは無かったところに行ってみるべ、と思い浮かんだのが壇ノ浦古戦場。せっかくなので行く前に平家物語の復習でもするかと思ったわけ。