なぜ八幡神社が日本で一番多いのか/島田裕巳

日本史の本を読んでいると、神社たくさん出てくる。特に源氏の本を読んでいると八幡様はよく出てくる。しかも「南無八幡大菩薩」と祈願をかける場面では、なぜか「菩薩」がついてくる。「南無」も仏教用語ではないだろうか。八幡様は神様ではなかったか?そもそも八幡様ってどんな神様?と思って手に取った。

が、この本は八幡様に限らず天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉について体型的に整理され、主だった神社について知識を得られる書籍であった。

目次

日本の神々と神社
八幡―日本神話に登場しない外来の荒ぶる神
天神―菅原道真を祀った「受験の神様」の謎
稲荷―絶えず変化する膨大な信仰のネットワーク
伊勢―皇室の祖先神・天照大御神を祀る
出雲―国造という名の現人神神主の圧倒的存在感
春日―権勢をほしいままにした藤原氏の氏神
熊野―浄土や観音信仰との濃厚な融合
祇園―祭で拡大した信仰
諏訪―古代から続くさまざまな信仰世界
白山―仏教と深くかかわる修験道系「山の神」
住吉―四方を海に囲まれた島国の多士済々の「海の神」

この本を読んで知ったこと・調べたいこと

八幡様は日本の神様ではない。渡来人が信仰していた朝鮮半島(辛国・からくに)由来の神様だった。
新潟市民にとって馴染み深い白山神社は石川・岐阜・富山にまたがる山の白山への信仰と関連がある。新潟県は一番神社の多い県である。諏訪神社は新潟に一番多い。

先述の通り11の神社について詳細に綴られた本であるので、八幡様そのものを知るには別の本を読む必要がある。また、なぜ八幡様が日本で一番多いのかについては特に書かれていない…。

次に読みたい本

  • 八幡神と神仏習合
  • 八幡さんの正体

まとめ

八幡様のことを知りたいと思って手に取った本だが、期せずして11の神社群について知ることができた。ただ、地図や写真が本文中に掲載されていればもう少し読み進めやすかったかなと思う。神社の地理的な説明を読む時はGoogle Mapを開きながら読んだ。

出雲や伊勢はともかく記紀神話と神社や信仰とは、たとえご祭神だったとしてもあまり直接の関連性は低いような印象を受けた。

熊野信仰の紹介で取り上げられていた補陀落渡海には大変衝撃を受けた。那智の南方の海に浄土があり、行き着くことができればごk楽往生を果たせるという。平家都落ち後一門から離脱して那智の沖に身を投げたという平維盛の入水は補陀落渡海であった。補陀落渡海を行なった者のうち、中には沖縄に漂着した僧侶もいたらしい。沖縄は異なる文化圏なので当時の人からしたら浄土に見えたかもしれない…。

思った以上に明治以前は神社と仏閣が一体化しており、神社の話を読んでいるのに僧侶が登場し、さらっと読めはするものの、時々おや?と思ってしまう。また寺社が運営する神社もあったとのことだ。

寺は仏に祈願する場であるとともに僧侶が修行や学問研鑽する生活の場である一方神社は祭祀を行う場であり、小規模な神社は氏子が当番に当たるとのこと。

筆者の言葉を借りると神道の本質は「ない宗教」で開祖も経典も教義もない。一般的な宗教の役割である救済のための手段もない。いつ始まったのかもわからないため、どういった存在であるか言語化して説明するのが難しい。説明するのが難しいということは理解が及びにくいということなのだろう。とはいえ、歴史の知識などで補完していけばある程度補われ、神社や神道に対する自分なりの考え等は身についていくのではと思う。