鎌倉殿と13人の合議制/本郷和人

「承久の乱」が読みやすかったので、とりあえず入手し、読むのは後でいいと思っていたのだが、オビの目次にそそられて一気に読んでしまった。

ほとんど知識ゼロの読者をうまく世界に引き込んでくれる。その章立てが良いと思う。同じ著者の「承久の乱」を読んだ際も同じことを感じた。

目次

序 章 鎌倉幕府とは何か
第一章 「13人の合議制」とは何かを考えるために
第二章 頼朝以前
第三章 鎌倉幕府の成立
第四章 「13人の合議制」の真実
第五章 そして内乱へ

この本を読んで知ったこと・調べたいこと

武士の身分制度の説明や当時の関東の地理的・立ち位置的状況、義家以降義朝以前のたち(義親・為義)について知ることができた。

当時の東国は南関東四ヶ国(武蔵・相模・駿河・伊豆)が中心であり利根川より東は別の勢力圏であったそうだ。(当時利根川は江戸川区のあたりに河口があった)勢力を伸ばす時は利根川を渡らずに北へ勢力を伸ばすことを目指したのだそうだ。だから義朝に対抗した義賢は北関東に向かったのだろう。関東出身でもなく受験科目が世界史でもない私にはありがたい情報だった。

また知っているようであまり知らない源義家についてももうちょっと知りたいと思った。

次に読みたい本

  • 河内源氏
  • 日本史リブレット 人 源義家

まとめ

鎌倉殿と13人の合議制の話なので、本書は実朝の死による源氏将軍の終焉で幕を閉じる。その後の北条の時代については別の書に譲るということであろう。序章で触れられている頼朝の「朝廷の伝統的な秩序と何とか折り合いをつけてやっていこう」という姿勢、日本の歴史に親しみがある者からしたら当たり前の態度であるが、他国の歴史と比べると珍しいことであるらしく、私もうっすら感じていたことなので今後の読書を通じて知っていきたいと思う。